私達の仕事は完成すると見えなくなってしまいますが、建物の強さを作り出すために一番重要な部分を担っているのです。
ハッカーと呼ばれる道具で鉄筋と鉄筋を素早くきれいに縛る(結束する)のが職人さんの腕の見せ所です。
以下に結束の工程(1)~(8)まで示したが、ベテランはこれを3秒でこなします。初心者は60秒以上かかります。
(1) 鉄筋配置
(2) 結束線とハッカーを持つ
(3) ハッカーを持つ手で結束線を1本引き出す
(4) 引き出した結束線を、元の手に持ち替える
(5) 結束線を鉄筋の交差した個所の下にくぐらせる。
(6) くぐらせた結束線をハッカーの先端でひっかける。
(7) ひっかけた結束線を手前まで持ってきて、その結束線の根元と掛け合わす
(8) ハッカーをまわし締め付ける。
STEP 01
ベース筋を縦横並べて結束する。
ベース筋とは、文字通り建物の基礎部分で、その上に柱が乗り、その柱に梁が交差して、さらにその梁の上にスラブ(床)を置くという、建物では一番下に、一番重要な部位です。どちらの方向を先(下)にするかも図面を確認して作業します。
STEP 02
柱を立てるための段取りの”馬”配置と、フープ筋の仮置き。
柱は、縦方向に数本の太い鉄筋の主筋と、それらの外周りを直行して囲むように四角いプープ筋とで構成されます。
主筋をただ立てたらひっくりかえるので、倒れ防止の”馬”を配置します。そして規定本数のフープ筋を仮置きして置きます。
STEP 03
柱主筋を3本立てて、フープ筋と結束する。
4つ角すべての主筋を先に立てたら、フープ筋を上下させにくいので、3か所に留め、その3本の主筋にフープ筋を結束する。一番上のフープ筋の高さは、後で組み立てる梁筋の高さにあわせる。
STEP 04
柱主筋を3本立てて、フープ筋と結束する。
4つ角すべての主筋を先に立てたら、フープ筋を上下させにくいので、3か所に留め、その3本の主筋にフープ筋を結束する。一番上のフープ筋の高さは、後で組み立てる梁筋の高さにあわせる。
STEP 05
梁の一番低い梁筋を組む。
梁組立て様”馬”を使用して、その馬と柱フープ筋に梁上主筋をのせる。
柱のコンクリート仕上がり面(躯体面)から、梁主筋の先端まで既定の寸法を入れて、動かないように主筋とフープ筋を結束する。主筋にスターラップ筋(主筋に直行し、主筋通しを拘束する鉄筋、柱のフープ筋に当たるもの)を掛ける位置にマークをする。その場所にスターラップ筋を掛け、最後に下筋を入れる。
STEP 06
他梁筋を組む。
(5)の工程通りに他の梁筋も順番に組立てる。
この時、後で差し込み不可能にならないよう、あらかじめ配置しておかなければならない鉄筋を、梁スターラップ筋や柱フープ筋内の狭い空間に仮り置きします。ここが一番頭使うところで、その時、曲った鉄筋が柱内で相当ゴチャゴチャになっています。作業で一番ストレスを感じる時です。
STEP 07
梁主筋を仕上げる。
ゴチャゴチャになった鉄筋をスターラップと1本1本結束していく。少しずつ鉄筋が整理されていきます。しかし、最後に「この鉄筋をもう5cm引っ込めたいが、他の鉄筋にあたってどうにもならない!!お手上げ(@_@;)・・・」ということがしょっちゅうあります。つまり、梁の最後の鉄筋を所定位置に結束しないと心が休まりません。
STEP 08
梁主筋を仕上げる。
梁コーナー部は、柱主筋とフープ筋を結束した時と同じ”たすき掛け”で縛ります。プロが施工すると、結束線に緩みがありません。
尚この写真は、”たすき掛け”でも簡単な方法の1つで、”両たすき掛け”なるさらに難しいそしてなかなか結束が緩まらない方法もあります。
STEP 09
鉄筋の間隔や結束忘れを確認する。
この段階になると、ひと安心です。現場では、フープ筋やスターラップ筋にスぺーサーを掛ける段階です。心の中ではタバコをふかし、『よう、こんな複雑なもん、短時間で組んだわ!さすがや!』と自分をほめてあげます。
しかしその時、「あれっ。この1本なんやろ?あっ!入れ忘れた!!」
天国から地獄です。・・・・・